天地明察・ほか

天地明察     沖方 丁(角川書店)

2010年の本屋大賞受賞作品。時代小説。渋川春海(1639-1715年)という、実在のお城の碁打ち衆の家に生まれた若者が、
算術に興味を持ち、時代の優秀な人々の力を借りながらその延長線上の天文学ー暦の作成。および改暦の実現にいそしむという物語。

出てくる人物が良い。へこんだり、やる気を見せたりする春海。算術の天才、一瞥即解の士、関孝和。北極出地観測隊を率い、後に改暦と渾天儀製作(地球儀の宇宙版)を春海に託し死んでいった建部昌明、伊藤重孝、改暦を春海に密かに命じた会津藩主保科正之、神道の師山崎闇斎、水戸光圀。登場人物のキャラが立っていて、ぐっとひきつけられるのだ。

魚屋の息子に生まれ京都に出て、吉田神社に仕える卜部吉田家の神道を継承し更に発展させた、神道研究家、吉川惟足の思想がいい。

「天照大神は世を治めた要領は、次の三つの他はない。

まず己を治めて正しくし、私をなくすこと。

仁恵を重んじて民に施し、民を安んじること。

多くを好んで問い、下情(世情)を詳しく知ること。」

神の働きを意味する<誠>、その働きに達するための<敬・つつしみと読みます>、実践の方法たる<祓い>。天地万物の本源たる神は、人間一人ひとりのうちにも在る、という思想。
ちなみに会津若松の藩主保科正之は、神道上の称号を取って、土津(はにつ)公と呼ばれるが、その土(はに)とは、宇宙を構成する万物の根源であり、その最終的な姿を意味しているのだそうだ。
神と霊と人の心を結ぶもので、神も霊も心も、結局は同じものが別の形をとっている。

沖方 丁氏によると「神道はゆるやかに、かつ絶対的に人生を肯定している」という。

禊の本意たる「身を殺ぐ」という言葉にさえ、穢れをそぎ落として清めるー意味はあるが、穢れを消滅させる。かがれたものを滅ぼすという意味合いはないらしい。

左手は火足すなわち陽にして霊。
右手は水極すなわち陰にして身。
拍手とは、陰陽の調和、太陽と月の交錯、霊と肉体の一体化を意味し、火と水が交わり、火水(かみ)となる。

拍手は身たる右手を下げ、霊たる左手へと打つ。
己の根本原理を霊主にさだめ、身、従う。

このとき、神は火水に通じ、神性開顕となって神意が下りる。
手を激しく打ち鳴らす音は、天地開闢の音霊、無に宇宙が生まれる音である。
それはアマテラス大御神の再臨たる天岩戸開きの音に通じる。

光明とは、いわば種々に矛盾した一つとなって発する輝きである。

恐れや迷いを祓い、真に求めるものを自らに知らしめ、清廉潔白となる。

・・・・・・・・・・なるほど。
俄然、神道に興味がわいてきました。

・松下幸之助に学ぶ人生論         飯田史彦(PHP研究所)

松下幸之助が、飯田先生の枕元にたたれ、この本を出すように依頼した、らしい。

といういきさつは別として、わりと普通な幸之助さんの本です。
すでに出版されている資料をまとめつつ編集したものである。

「願望の達成とは、願望の程度によって成り立つ」とか「やらねばならないと信じて行ったときに本当の勇気がわく」とか

「100人までは命令で動く。1000人になるとしてください、という心の柔らか味がないと人はついてこない。10000人になるとくださいでなく、頼みます。になり、更に数が増えると拝みます。という気持ちがないと動かないのやないかな」

「宇宙根源の力は、善人悪人の区別なく、全ての人間に平等にその恵みを与えているのである。」

「学問や体験によって認識した真理を、信じあう心の上にあてはめてなければならない。この信ずると言う心の働きを、正確な理解のうえにのせて生かしていくことが、信解両全」

「繁栄をもたらすものを、真理だと考えていいと思います。」

「完全な成功とは、恵まれない地位にあっても、貧乏な境遇にあっても、人に誹謗されても、心からほんとうにその逆境を愉しみ、笑いうることをいうのではないだろうか。」

という部分が、とても良かったです
by terasumonnmoku | 2010-06-10 23:58 | 読書 | Comments(0)

生きる意味が見つからないなら、自分で創って育てちゃおう!というブログです。やっていることはさまざまですが、常に生きることに向かっています。

by terasumonnmoku