Pashupati Nath temple

パシュパティナートは、Kathmanduの市街地から約5キロのところにある大きな寺院で、
インド大陸シヴァ四大聖地の一つである。

破壊と創造を司る神シヴァが、実際に滞在したという伝説を持っている。

中に流れるバクマティ川は、ガンガーの支流に当たり、
河岸には遺灰を流すために、インドのバラナシ同様何台もの火葬台が据えられている。

いつものように予備知識なくネパールに来て知り、

これは外せない。と思ったものの

交渉が必要なタクシーに一人で乗る気持になるかどうか、お昼を食べながら考えようと思ったら

行った先のカフェで、ネパール在住のドラ君(日本人です)という男の子に出会った。

彼と、なぜか突然ジャン・ジュネ風な暴力と怒りと愛についての話をした後で、一緒に行くことになったのだ。

バラナシの時もそうだった。

わたしは誰か大切な人が亡くなるたびに、こういう風景を見に来てしまう。

バクマティ川はガンガーより小ぶりなせいもあって、火葬台が目立つ。

オレンジのそっけない布で包まれた死者が、勢いよく燃えている。

もうもうと立ち上る煙。
たくさんの猿。
橋の上の観光客。
新聞の売り子と物乞いたち。
一心に焼けている死体と、家族らしい男たち。

泥色の川には10歳くらいの全裸の少年が泳いでいて、死者から放出される金歯なんかを拾っている。

洗濯をする女たち。弦楽器の音。

暑い。

妙にゆがんだ景色の中で、死んでしまった人を思う。

生と死の生々しい連関。

(このときドラ君は、日本に帰ってしまった彼女のことを思っていたのだそうだ。ここはそういう場所なのかもしれないね。)

好んで見に来たのに、消化不良を起こし、げっそりしながら山に上った。

猿の数が増え、広場のようなところに出た。

小さな祠の横に座る、新渡戸稲造にそっくりな丸い眼鏡のお坊さんが、寺院の名前を教えてくれた。

どこからきたんだ?

日本から。

日本?

新渡戸氏はゆっくりと頷いて、

お寺を見ていきなさい。とても重要なお寺なのだ。と言った。

お礼を言って、教えてもらった寺を回った。

その一つ、ラズ・ラジェシュワリ寺院(Raj Rajeshwari Temple)の奥では、オレンジの衣をまとったキリスト風の僧が、供物を片付けてるところだった。

建物の奥に飾られたシヴァの肖像に二人で拝礼すると、その僧侶は深い瞳を向けて私たちを祝福し、頭に花をのせ、捧げもののバナナを手渡してくれた。

彼の慈愛に満ちたまなざしの中に、あたりの喧騒と、それが醸し出すたくさんの棘が溶けてゆるやかな虹となり、静かに収束していく。

バナナを握りしめて
自分は、ものすごく怒っていたんだな。

と、ふいに思った。

この世の理不尽さに、強く激しい怒りを抱いていて
それを気付かぬように、深く、心に折り畳んでいたんだ。

祝福を受けた時、2人が、何かとてつもなく大きなものから、赦されたような気がした。

ばちん。

チャンネルが変わって、世界がまた新たに色づき始める。

人生には、たまにそういう瞬間がある。

その後ドラ君は、内側に激しい怒りを抱え、身動きができなくなっているところが自分に似ている。といって、

とうもろこしの友達になってくれた。
(いずれにしても、年は離れてるけどね・笑)

親のいないところで互いに好きな音楽の話をし、本について語り合い、漫画の品定めをするうちにとうもろこしは彼に心を開き、

わたし以外の人に初めて、自分から、父親の話を(それも省略することなく一通り全部のストーリーを!)話すことができた。

すごい。

ドラ君に話を聞いてもらって、意気揚々と帰ってきたとうもろこしの表情を見て、わたしは泣きそうになった。

深い海の底から海面にもどって、ようやく息をついた人のようで(T_T)

どんな袋小路にも、ちゃんと出口はある。

だからあなたも、きっとだいじょうぶ。

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Pashupati Nath temple 
写真はhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~st_octopus/POI/Nepal/Pashupatinath.htmさんからお借りしました m(__)m
Commented by ドラ at 2012-09-05 04:40 x
terasumonnmokuさん、とうもろこし君の親子に出会えて本当によかったです
ふとしたときに「この話をとうもろこし君としたいな」とか「この話terasumonnmokuさんならどう感じるだろう」と思います
日本で再会できたらまたお茶でも飲みましょう
Commented by terasumonnmoku at 2012-09-07 11:40 x
ネパールではほんとにありがとう(^○^) お茶でも飲みましょう!でもその前にまず、生き延びてください(T_T)
by terasumonnmoku | 2012-08-18 16:07 | | Comments(2)

生きる意味が見つからないなら、自分で創って育てちゃおう!というブログです。やっていることはさまざまですが、常に生きることに向かっています。

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