18.風立ちぬ

風立ちぬ 2013・ジブリ  宮崎駿 監督 声)庵野秀明・瀧本美織  126min

宮崎駿監督の、引退作。もともと宮崎駿監督の漫画が原作だったらしい。
堀辰雄と、零戦を作った堀越二郎へのオマージュ。 

空や、関東大震災のうねる大地の描写がすごかった。
美しかったし、獰猛なほどの生命の力を感じた。

妻の菜穂子さんについて、理想的すぎる、とか都合がいいとか
こんなひとはいない。などいろんな書かれ方をしていたけど
わたしは自分が二郎的な、
すべてを投げ打って夢の実現に突き進み、
妻である自分のためにはなんにもしなさそうなひとが結構好きなので、
(しかし、こういう夫と一緒に暮らすのはホントに大変・笑)
これはこれでありだと思う( ^_ゝ^)

戦闘機好きで、戦争が嫌いな宮崎監督の
これは自己の矛盾に対する「回答」の映画だそう。

二郎少年の時から、夢の中に現れては二郎を導く
カプローニ伯爵。
(かつてイタリアにあった飛行機メーカーの創業者。ここで出した
カプロニCA309という飛行機はGHIBLIジブリの異名を持つ。)

伯爵に、夢の中で戦禍の果ての世界の終りのような風景を魅せられたあとで

「ピラミッドのある世界と
ピラミッドのない世界、君はどちらを選ぶ?」
と聞かれ
次郎は、ピラミッドのある世界を選ぶ。

自分の作った戦闘機のせいで世界が終わっても
飛行機を作り続ける。
矛盾といえば矛盾だし、欺瞞といえば欺瞞。

でも、選択を迫られたら、わたしもやっぱりピラミッドのある世界を選ぶ。
なぜなら、そのほうが「おもしろい」から。

夢って、ただロマンチックなだけでなく
時に劇薬になる。
でも、生物としての本能や限界を超えて
ロマンに生きるようなことがあっても、
それはそれでいいんじゃないだろうか。

結核で死にそうな妻の前でタバコを吸ったり
戦闘機という戦争の道具にうっとりしたり。
そういう愚かな純粋さを庵野さんの硬質な声と
美しい映像が支えている。
たぶんそんなふうに、それぞれに矛盾をいっぱい抱えて
二郎だけでなく、わたしたちは、生きている。



by terasumonnmoku | 2015-03-07 21:03 | 映画 | Comments(0)