4.雨月物語

雨月物語 監督 溝口健二 原作 上田秋成 脚本 川口松太郎 撮影 宮川一夫
出演 田中絹代 京マチ子 森雅之 1953年(日本) 97min モノクロ・スタンダード

撮影の宮川一夫さんという名前に見覚えがあると思ったら、
「羅生門」をはじめとした、黒澤映画で撮影をしていたひとだった。
伝説のカメラマンだったらしい。

あるところで、かつて好きだったゴダールが、
自分が一番影響を受けた映画監督はミゾグチだ。
と発言していたのを見て、興味を惹かれた。

97分、息もせずに見る。
どこにも無駄がなく、隙間なく美しい。
作られて60年以上の年月が経っているはずなのに
テーマも切り口もきわめて現代的で、全く飽きない。

悲惨なことがたくさん起こるのに
余計な情緒的思い入れがないために
見るものに悲惨さを押し付けない。

エピソードに説得力があり、そういうのがあるのも人生だ。
というふうに伝わってくる。
(わたしの実感としても実際そうなのだろうと思う)
ゴダール映画にある、深刻な事態を軽妙に描くというタッチは
ミゾグチのそういうところの影響されたのかもしれない。

どうしていままで、この人の作品を見ないでいたのだろうと思うほど
素晴らしかった。
小津安二郎の「東京物語」より好きかも。
(全然タイプは違うけど)

原作は上田秋成の「雨月物語」の二つのエピソードと、
モーパッサンの「勲章」という短編を混ぜたもの。
泉鏡花ふうの怪奇ロマンと、
よりよい生活を求め、必死に利益を追求するあまり
家族を見失い、持てるものをすべてなくしてしまう男、
というモーパッサン流の
極めて現実的なテーマが自然に交錯するさまは、見事。

魔物役の京マチ子の妖艶さがすさまじく、
自分が男性でも、喜んでとり殺されてしまいそうなリアリティがある。
そして映像が、ため息が出るほど美しい。

見ていて思ったのは、別に現代じゃなくても
人間はずっとおろかに生きてきたのだし
愚かなことにも意味があって、それはそれできっとよかったに違いない。
ということだった。

それにしても、97分(96分という説も)という長さで
この内容はほんとうにすごい。感動の一本でした。



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by terasumonnmoku | 2016-03-28 20:42 | 映画 | Comments(0)

宇宙真理哲学講師、らくがきすと、即興ピアニストぷらす社会活動家(過労自死遺族当事者)働くことから世界を変えるをモットーに、さまざまな活動をしています。合言葉はREBORN.大事なのは、生きることだ!


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