小説感想 29.君の名は

29.君の名は      新海誠(角川文庫)

先日見た、新海誠監督の同名の映画の小説版。
映画のノベライズって、通常はオリジナル映画とは関係のない人によって書かれる。
原作の世界観とかけはなれていることが多く、だからあんまり好きではない。
でも、これは著者が監督自身。
世界観が原作と同じことに感動しつつ読む。

総合芸術である映画と、個人的な小説というメディアの違いが楽しめて
ほんとうにおもしろい。
(本の売れ行きも、きっと爆発的に違いない)
映画を見ると小説が読みたくなり
小説を読むとまた映画が見たくなるという
エンドレス循環。

RADWIMPSの音楽を掛けながら読みと
さらにひたれます・笑。

なにがそんなにいいのか。
やっぱりそれは、世界観の美しさ。
につきるのじゃないのかな。

ジブリ映画とかの土台に常に影を落としていたような、
重い絶望~的な気配がない。
主人公たちは平凡と言えば平凡。
それぞれが超絶すごい才能を持つわけでもない。
その中で壮大なドラマが起るわけだから
当然葛藤が起り、主人公はもがく。

そのもがきかたが、美しい。
矛盾を内包したうつくしい世界の中で、平凡な人たちが、美しくもがく。
一番大切な記憶が失われていくことを
留めることもできず、
ただ、「大事だった」という事実だけが
人生を支えている。

これって、ほんとうの自分を忘れた
わたしたち自身の物語だ。

名前を失い、目的地も失い、記憶を亡くしても感情だけが残っていて
いつか、確かに存在したはずの、自分の望んでいた場所に
必死で近づこうとしている。
うつくしい風景の中のうつくしいひとたち。
生き生きした喜びの感覚。
それとはかけ離れたぼんやりした日常を
記憶のかけらがよぎる。

<かけら>を起点にして、わたしたちは還っていく。
きみのいた世界に。
その瞬間、世界は色彩をとりもどし
再び世界は輝き始める。

「君の名は」という小説は
そういう物語でした(๑'ᴗ'๑)

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by terasumonnmoku | 2016-09-05 21:20 | 読書 | Comments(0)

宇宙真理哲学講師、らくがきすと、即興ピアニストぷらす社会活動家(過労自死遺族当事者)働くことから世界を変えるをモットーに、さまざまな活動をしています。合言葉はREBORN.大事なのは、生きることだ!


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