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artandlove☆もんもく日記2

カズオイシグロ著「わたしを離さないで」レビュー人が生きるというのはどういうことか。

臓器提供のために育てられた
クローンの子どもたちを美しく描いた


カズオ・イシグロさんの


「わたしを離さないで」という小説が
とても好きだ。




カズオイシグロ著「わたしを離さないで」レビュー人が生きるというのはどういうことか。_c0195362_21355542.jpg



これはイギリスで映画になり

日本でもドラマ化された。


タイトル「わたしを離さないで」

Never Let Me Goに



フランクルの「夜と霧」で、
捕らえられたユダヤ人が


死を予感しながら収容所の壁に刻んだ



「それでもわたしは人間だ」


と言う文言に共通するものを感じ

(うろ覚えですが)


このタイトルには、どんな状況下でも

最後の瞬間まで

わたしはわたしとして、

生きていく。

という非常な決意や祈りのようなものが

込められている。


それは

<個別者として自己の存在を自覚的に問いつつ

存在する人間の主体的なあり方>

=実存(大辞林)


といってもいいのではないか。


と、考えていたため、


日本のドラマの主人公たちが、

自分の執着する相手と別れるたびに
タイトル


「わたしを離さないで~」


叫ぶシーンを立て続けに見て、

非常な違和感を感じた。


違うだろう~!




もしかしたら、日本には
「実存」と言う概念が
ないのかもしれない。


人は誰かとの、あるいはどこかとの、
関係性によってしか、存在しない。



だから人間関係の失敗が

大きく決定的に響く。
関係性の失敗と同時に
自分自身の存在まで危うくなる。



と、いうようなことを考えた。


もちろん、そんなのは思い込み。

ただの認知の歪みで、


わたしたちは

「自分が何によって立つのか」を

自分の意思で、決めることができる。



臓器移植のために培養された

クローンの子どもでも、

ナチスにとらえられ

死を待つユダヤ人でも


尊厳を持って人生を生き

誇り高く生きることはできる。

死の、瞬間まで。


「ひととして」

素晴らしい存在として。

光輝く一つの高貴な生命として。


彼らにおいてすらそうなのだ。

だから当然、

そこまでの極限状態におかれてはいない

わたしたちに

できないはずなない。


死ぬのではなく、

自分を価値あるものと認め

あらわし、生きて行くこと。

それは、あたらしい未来を創り

変えていくための力だ(๑'ᴗ'๑)





以下のリンクは参考で

敬愛する労働問題の研究者である

熊沢誠先生の書かれた

映画版、ドラマ版のレビューです。




ちなみに、過労死問題に興味のあるかたは

熊沢先生の「働きすぎに斃れて」を

読んでみてね。

過労死問題が

単に研究の対象というだけでなく

生きた人間の

骨太で重厚な人間ドラマになっています。

まるでドストエフスキーの小説のよう。


あと、カズオ・イシグロさんの「日の名残り」

も純文学好きな方にはお勧め!


イギリスの貴族の家に働く執事の物語で

こちらは谷崎潤一郎の「細雪」のような

静謐な秩序と美の世界に浸ることができます。

こちらは映画も、素晴らしい~ଘ(੭´ ꒫`)



2015年にカズオ・イシグロさんが白熱教室に出た時の記事

ほんとに好きみたい・笑




by terasumonnmoku | 2017-01-13 22:14 | 読書 | Comments(0)

スピリチュアルアーティスト/セラピスト/時々社会活動 前過労死等防止対策推進委員。勝手に自死防止活動推進中。スピリチュアルとリアルをアートで融合し、人の繋がりの力で新しい世界の創造を目指しています。

by terasumonnmoku