2017年 05月 09日
読書 23.困っているひと
命がけのエンターテイメント。
これは本当にすごい。
突如難病を発症したビルマ女子。
大学院生女子の、
難病と、社会との格闘の記録。
ハードになりがちな内容なのに、
めちゃくちゃおもしろい。
当事者にならないとわからないことがこの世界にはたくさんある。
スタンダードからはみ出した人に、
社会はそれほど優しくないし、
人の援助には
常に限界がある。
自分の困難は、
難病であっても
自分で乗り越えなければ
ならないのだ。
さて、同じ状況に陥ったとして、
ここまで達観して
我が身を見つめられるか?
が疑問だが、
逆にそれか出来る人だから、
そうなったとも言えて、
人生というものの奥深さを
しみじみ考えさせられる。
>こんなわたしが生きていけるのだから、
きっとあなたも大丈夫。
と言う一文に
著者のとてつもない大きさと、
深さを感じる。
ビルマ難民支援に走り回った
援助者としての経験が
生きているのだろうか。
「夜と霧」のフランクルが
精神科医だからこそ生き延びた
というのに、近いのかな☆
>でも、絶望はしない。
という著者の一言が
気持ちいいけど
よく考えると、それは
絶望する余裕も
ない。ということを示唆している。
絶望したら、終わり。
著者はすてきだけど
ただ、あまりにも状況が
厳しすぎる。
せめて著者の恋が、
順調に続いていることを
切に祈る。
#本が好き #読書中毒 #読書ノート
23.困っている人 大野更紗(ポプラ社)2011年