*Rigoletto
『椿姫』『イル・トロヴァトーレ』と並ぶヴェルディの中期三大傑作の一つ。1851年3月ヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場で初演。原作は、実在のフランス王
フランソワ一世の放蕩を告発した、
文豪ヴィクトール・ユーゴーの戯曲『王は愉しむ』
タイトルのリゴレットは、
主役の好色なマントヴァ公爵に使える、
道化師の名前である。
リゴレットは妻を亡くし、残された1人娘を溺愛。
貴族たちの娘や妻に陵辱を繰り返す、
とんでもない公爵に媚びへつらいながらも、
自分の清らかな娘を密かに匿い、
大切に守り育てていた。
しかし、ある日公爵と仲間の貴族たちに
娘の存在がばれてしまう。
娘を守りたいリゴレットと、
彼女を誘惑する公爵。
娘は父に気兼ねしながらも、公爵に惹かれ
貞節を奪われて、
騙されていたことを知る。
ことの成り行きを知り
復讐を誓う父から
愛しい恋人の命を守るため
娘は身を投げ出す。
そして可哀想な彼女は
リゴレットの腕の中で死んでしまう。
悲劇だ。
しかもディヴィット・マクヴィカーによる演出は、強姦や暴力も示唆する大人向けのもので(あらかじめそう言う演出である旨クレジットされる)、めちやリアル。
怖いほど真に迫って感じられた。
リゴレットの立場のひと
巷に多いのではないか。
ダメだと知って公文書偽造する公務員。
例えて言うと、今日証人喚問に呼び出された
佐川さん、みたいな人もそう。
自分の信義をまげ
立場を危うくしながら
嘘を高らかに叫ぶ、
引き裂かれた人。
やってることが最悪なマントヴァ公爵は
罪悪感ゼロなので
意外と自身は酷い目に合わないし
苦しむこともない。
佐川さんがそうかどうかは別として
罪そのものではなく
その人の持つ罪悪感が、人を苦しめる。
苦しむ人は
純粋だから、心が美しいから
苦しむのだ。
全ての苦しんでいる人
心の美しい人たちにエールを送るように
ヴェルデイの美しい旋律が
全編を通して響いていた(^-^)
*ロイヤルオペラハウスは、ロンドンのコヴエント・ガーデンにある名門歌劇場。
ロイヤルオペラと、ロイヤルバレエの本拠地。
ロイヤルオペラは音楽監督アントニオ・パッパーノ率いる世界を代表するオペラ・カンパニーの1つで、チャールズ皇太子がパトロンを務めている。