静かで

物音一つない。

心臓が大きく脈を打ち

時折、地面が

うねりをあげる。

まるで世界が終ったような夜なのに

空には,満天の星がまたたいていた。


徐行運転を見下ろす、止まった信号機や

避難所になった体育館で、身を寄せあう人々や
眠れない子供たちが

一斉に外に出て

空を眺める。


激しくシェイクされた家から
隣人が図鑑を発掘して

星座を調べる傍で

理不尽なまでに美しい夜空を見上げた。


ラジオからもれる切れ切れの情報が、混乱を増幅する。

自分の立ち位置がわからない。誰かに説明してほしい。

なにをしていいか、なにをどう考えればいいのか。を。

地面は揺れ続け、時間ばかりがある。

説明も、理由もなく、わたしたちは投げ出される。

命が、夜の寒さの中で凝縮する。
そこにいない大切な人を、はげしく思う。

てのひらで、きみをつかむ。

決してどこにもいかぬように。

てのひらで、ゆびで、こころで、めで、たましいで

きみをつかむ。

絶対にそして永遠に

失う、ということがないように。

指の間から、大切なものがどんどん零れ落ちていってしまうような、そんな夜に

うれしいようなすごいようなこわいような

すべての感情が入り混じって沸騰したような、そんな夜に。


意識には上らない、存在の、とても深いところで、

わたしたちはあの夜の空に

生命と世界の神秘を見たのだと思う。

誰も口には出さなかったけど、みんな知っていたのだ。

あの夜はあまりにも完全で

そんなふうに必死にならなくても

すべての解が、あらかじめそこに示されていたことを。

知っているけど

でもあえて、手をのばすのだ。

変化が怖くて。



漆黒の闇を彩る星空の奥に、両腕をひろげる。

どこまでも、どこまでも、手をのばしながら

ハートのうちに、

すでにある永遠を、

そっと抱きしめる。

命が、形を変えながら続いてゆくことを

わたしたちが

ほんとうは星と同じだということを

ただ

感じ続ける。

あの夜の

深い空のなかで。
# by terasumonnmoku | 2011-11-06 11:40 | | Comments(0)

宇宙真理哲学講師、らくがきすと、即興ピアニストぷらす社会活動家(過労自死遺族当事者)働くことから世界を変えるをモットーに、さまざまな活動をしています。合言葉はREBORN.大事なのは、生きることだ!


by terasumonnmoku